知人の母親を見送りに、葬儀に参列させていただく。
今では珍しいかもしれない、自宅での葬儀。
彼は私と同世代。非常に恰幅の良い姿。
常にきりっとした面持ちで、いつも堂々としている。
その彼が、喪主の挨拶の時、
普段の風格が吹っ飛ぶ程、大きく泣き崩れた。
忙しい毎日、仕事に追われ、
社内に寝袋を持ち込んで、夜を明かす日々が続いていた。
施設に預けていた母親とは、
今年の1月以来、一度も会っていなかったと言う。
そして、突然の別れが来た。
学生時代、彼が友達を家に呼ぶと、
必ず布団を人数分用意して、歓迎してくれたらしい。
自宅での葬儀にしたのは、そんな母親に、
せめて、自宅から旅立たせたいと思った彼の、
意向なのかもしれない。
10年程前に、父親が他界した後、
彼は、この自宅を改築して、
母親のために、のんびり過ごせるスペースを、
作りたいと言っていた。
その夢は、果たせなかった。
「私を産んでくれて、ありがとう」
溢れる涙を拭うことなく、語った彼の言葉からは、
感謝と後悔が、心で渦巻いているのだろう。
ずっと、がむしゃらに働き続けていた彼。
思考の変化さえすれば、今の収入を保ちながら、
自由な時間は十分作れるはずだ。
ただでさえ、優秀な人材なのに・・・
母親が届けてくれた、彼へのメッセージで、
今とは違う生き方を、感じてくれれば幸いである。
そして、初めての出会いが、お別れの時となったが、
私にも、多くの気付きを与えていただいた。
さよならが、何よりもの出会いとなった日だった。
いつも幸せを願っています
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今日も一日おたのしみさまでした。
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