客観的な立場で、とても切ない「心のすれ違い」に出会うことがあります。

身近にいる大切な人が、純粋な善意や思いやりから言葉をかけてくれている。 それなのに、受け取る側はなぜかそれを「良くない意味」に捉えてしまい、自ら心の深い沼へと沈んでいってしまう――。そんな光景です。

こうした状況のなかでは、誰もが少しずつ傷つき、しんどさを抱えています。

言葉を受け取るご本人は、周りが敵だらけのように感じられ、常に緊張の中にいてとても苦しいはずですし、純粋な優しさを届けた側も、「そんなつもりじゃなかったのに…」と、届かなかった想いに胸を痛め、少し疲れてしまいます。

なぜ、温かいはずの言葉が、トゲのように刺さって聞こえてしまうのでしょうか。


善意をまっすぐに受け取れず、否定的な解釈をしてしまう人。 それは、決してその人が意地悪だからでも、ひねくれているからでもありません。自分を守るための盾を無意識の内に使っているのかも知れません

きっとこれまでの人生のどこかで、「何かを否定し、疑わなければ、自分を守れないほどの環境」があったのだと思います。

誰かに傷つけられた記憶、期待して裏切られた痛み。 そうした苦しみから、これ以上自分が壊れてしまわないように、必死で作り上げた「心の盾」が、誰かを否定することだったのかもしれません。大切な自分を保護するために、その盾は当時のその人にとって、絶対に必要なものだったのです。

しかし、安全な場所に移動したあとも、その重い盾を構え続けていると、今度は周囲からの純粋な優しさや応援の光が、すべて遮られてしまうことになります。

目の前にある「すれ違い」や「苦しさ」は、実はこれまでの生き方を見直すための、与えられた気づきの場(プロセス)なのかもしれません。

無理にその盾を投げ捨てないほうが良いかも知れません。 ただ、「あ、自分は今、自分を守るために必死に盾を構えているんだな」と気づくだけでも、大きな一歩だとおもうのです。


もし、そこに気付けたら
ここから少しずつ、時間をかけて進んでいければと願っています。

まずは、自分を開放していくこと。そして、自分の力を、そして自分の可能性を信じていくこと。

「私は、もう盾がなくても大丈夫かもしれない」 そうやって自分自身を信頼できるようになって初めて、人は少しずつ、目の前にいる「誰か」を信じやすくなっていきます。

沼の中から抜け出し、差し出された温かい手を、そのまま「温かい」と受け取れる日が来ることを。 そして、そのプロセスを歩む人の心が、いつか優しく解き放たれることを、心より願っています。

 

くれたけ心理相談室 香港支部 リン北沢美雪カウンセラー
くれたけ心理相談室 香港支部 リン北沢美雪カウンセラー

香港で活躍中の美雪カウンセラー セルフケア・コラムの連載がスタートいたしました。

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竹内 嘉浩
竹内 嘉浩株式会社呉竹(くれたけ心理相談室、呉竹コンサルティングサービス)
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