孤独の時

 

 

彼女は皆から好かれていた。
誰に対しても出来る優しい気遣いが
いつも喜ばれていた。

そして、家に帰ると、
彼女はよく孤独を感じていた。

内と外とのギャップがあった。

時に心がしんどくなるけど、
そんな自分に、疑いは持たなかった。

 

ある日

淡いグリーンの映える、デンタルクリニックで
彼女はブラッシングの強さを指摘された。

その時、何故か彼女は初めて大きな疑問を持った。

自分は人に対しては
丁寧に対応してきたが、自分自身に対しては、
全く優しくなかったような気がした。

 

その後、外から内に意識を向けるようになり
彼女は、少しづつ変化をしていった。

自分の心の声を都度聞きながら、
それを受け入れていった。

そして、
彼女の周囲も変化をしていった。

 

彼女は理想の恋人に出会った。

穏やかな陽気の休日
ウエディングドレスの彼女が居た。

ライムグリーンのブーケは、
気付かせてくれた歯科医院のイメージカラーであった。

その色の選択理由は、
自分しか知らない、彼女の感謝の気持ちでもあった。

 

日常の景色も、独りではない生活も、
あの頃から様変わりしたみたいだけど

相変わらず彼女は、
誰からも好かれる人気者なんだと思う。