慌しく過ぎる日々の中から、
少し強引に、彼女は小さな旅行を実行した。

ナイフとフォークを持ちながら、
友といろんな事を語ってみる。

使っていなかった、
少し高めの声のトーンを、久し振りに感じてみた。

良い時間だった。

 

日常に戻り、
いつもと変わらぬ一日を過ごし
改札をくぐりぬけた。

電車がリズムを刻みながら、
前より確実に細くなった肩が、
夜の窓に揺れていた。

私の行き先は、
疲れた足を、労わる事のできるわが家。

それは、生まれた頃に感じていたはずの、
柔らかで、心地よい空間。

 

我が家に向かって、電車は走っている。
今まさに確実に電車は走っていた。

そして、両手に抱えた心の荷物は、
もうちょっとで、降ろす事が出来るはず。

だって、既に改札を抜け
電車は、我が家に向かっているのだから。

そんなふうに、
自分と自分の心を重ねてみたら泣けてきた。

 

電車から降りた夜の道で、
雨と涙で心が洗われていく実感をする。

傘があって良かった
濡れた頬を悟られないから
安心して泣いた。

アスファルトに落ちる雨にも
負けないくらい沢山の、雫だった気がする。

だから明日は、
きっと晴れるんだろうなと空を見上げる

 

night

いつも幸せを願っています

竹内 嘉浩
竹内 嘉浩株式会社呉竹(くれたけ心理相談室、呉竹コンサルティングサービス)
毎日書こうと心がけていましたが、最近毎日書けていません。出来る範囲で皆さんとのコミュニケーションを図りたいと思っています。
There is no time like the present.

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